第8代会長挨拶

3期生竹内伝史氏の後任として、会長を仰せ付かりました5期生の宮池です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、今年は名古屋大学土木系教室創立50周年を迎え、去る10月1日には豊田講堂にて記念式典、講演会、交流会など多彩な行事が開催され、あの大きな豊田講堂がほぼ満席となる盛況でありました。準備された方々、参加された皆さんに心より御礼申し上げます。

東海地方に大災害をもたらした昭和34年の伊勢湾台風をキックとして、昭和36年に土木工学科が設立されて50年のこの年、奇しくも東北地方太平洋沖地震、台風12号、海外ではタイの大洪水などの大災害に見舞われたことに、何やら因縁めいたものを感じているのは、私だけではないと思います。

土木屋のこれまでの50年を振り返れば、右肩上がりの我国の経済成長そのもの、インフラ整備に邁進し、経済の失速とともに、気が付けば、「コンクリートから人へ」、「ダムはいらない」、「道路もいらない」の大合唱。

ならば、これからの50年は?

南海トラフの巨大連動地震、地球温暖化の所為か?頻発する集中豪雨や大洪水。

右肩上がりの経済成長は望むべくもなく、一方で高度成長期に作られたインフラの老朽化は進んでいく。

これら足下の課題の対処が急がれるが、地震・津波災害や、ダム問題、原子力事故などの現実に、市民の多くが技術者の話は信用でないと思っていることも事実。市民と技術との溝は事業を進めるうえで、大きな課題となっていると思います。

加えて、世相はこの国のおかれた現実を直視しようとせず、積み上げ、裏付けのない言論に翻弄され、「青い鳥」を追いかける愚から未だ覚醒していないように思われます。

そんな中、名古屋大学では、南海トラフ沿いの地震、都市直下地震、気候温暖化による風水害等の自然災害による被害を最小限に抑えることを目的とした「減災連携研究センター」の設置が、今年決定されました。理学・工学・法学・医学などの分野が連携し減災戦略モデルを構築し、地域協働により安全安心な社会を実現させることが、同センターのミッションであり、土木系教室の教官も多数参画されていると聞いております。

大学が社会と連携し、安全安心な社会実現に取り組むことが、市民の技術に対する信頼を取り戻す一助となることを大いに期待するものです。

加えて、我々OBは、名古屋大学をもっと利用すべきであると考えます。この姿勢が、大学と社会との連携を促進し、市民と技術との間にできた溝の問題解決の一助ともなり得ましょう。この受け皿作りは、鏡ヶ池会の大切なミッションであると思っております。

名古屋大学土木系教室の次の50年の発展を祈るものであります。

宮池 克人